デジモンアドベンチャーtri. 第6章「ぼくらの未来」

 今日公開のデジモンtri.の第6章を早速見てきたので、感想やら何やら。

デジモンアドベンチャー tri.(公式サイト)
006 『デジモンアドベンチャー tri.』(デジモンアドベンチャー トライ、DIGIMON ADVENTURE tri.)は、デジモンシリーズの劇場アニメ作品、デジモンアドベンチャーシリーズの続編。全6章予定。

デジモンアドベンチャー tri. - Wikipedia










デジモンアドベンチャー tri. 第6章「ぼくらの未来」 5.5劇場上映 告知PV


ストーリー

世界の崩壊がはじまった。
暴走するメイクーモンは、暗黒進化したテイルモンを吸収し、
強大な力を持つオルディネモンに姿を変える。
イグドラシルの思惑通り、現実世界がデジタルワールドに呑み込まれようとしているのだ。
絶望が迫りくる中、選ばれし子どもたちは懸命に前を向く。
太一のいない今、代わりになれるのはヤマトしかいない。
「世界を救うために、やるべきことがある!」

ガブモンはヤマトを力づけ、アグモンは信じている、太一は必ず戻ってくると。

一方のホメオスタシスは、もはや手のつけられなくなったオルディネモンを処分するため、
現実世界を巻き込む最終計画を実行に移そうとする。
何とか破滅を食い止めようと、子どもたちとパートナーデジモンは必死の戦いを続ける。

「すべての光はメイクーモンの中に…」

失意に沈むヒカリに届く、テイルモンの声。
そして子どもたちに、最後の決断を下す時が訪れる。
選ばれし子どもたちが、自ら選んだ未来とは―?

今、再び 冒険が進化する―

引用元: デジモンアドベンチャー tri. STORY


 第5章では、戦いの中で太一と西島先生は攻撃に巻き込まれ、崩落する地面の中へと落ちていった。その様子に衝撃を受けたヒカリはテイルモンを暗黒進化させ、さらにオファニモン・フォールダウンモードを取り込んだラグエルモンはオルディネモンへと変貌した。
 デジタルワールドと現実世界(リアルワールド)の崩壊が近づく中、子供たちはどのような選択をするかが問われることになる。イグドラシルやホメオスタシスの思惑を阻止するのか、メイクーモンを助けるのか、太一がいなくなった状況でどうするのか。

はじめに

 今回も例の如く劇場限定版の円盤を入手すべく早朝から劇場へ行ってきた。
 初日の午前中くらいなら余裕で買えそうなくらいの入荷数はあったようで、今回も下手な争奪戦は起きずに済んだが、その他の商品はわりと早い段階で完売してしまうものもあった。記念マグとかちょっと欲しかったな…。

 さて、今回はデジモンアドベンチャーtri.の完結作ということで、本作の感想に加えて、シリーズ全体での感想もついでに書いていこうと思う。まずは、本作とシリーズについてのざっくりとした感想を箇条書きにでもしていこう。

第6章とtri.シリーズの感想

 細かいツッコミどころなどは抜きにして、主な部分だけを上げた……つもりが、なんか長くなっていた。ざっくり第6章やtri.についての感想を読みたい方は以下の箇条書きだけでも十分すぎる気がする。
 ストーリーに関するネタバレ部分などは白文字としたが、それでもネタバレ注意。

第6章「ぼくらの未来」
  • 望月芽心とメイクーモンの話としては綺麗にまとめられている方だった。
    何度か挟まれる二人の思い出のシーンやラストの「だんだん」は泣ける。
  • 太一の代わりとして、ヤマトが成長していく様子が分かる。
    特にガブモンと素直に言葉を交わして涙するヤマトは見どころ。
    tri.の中でヤマトがここまで丁寧に描かれるのは初めてではないだろうか。
  • メイクーモンの中に全デジモンのバックアップデータが存在し、全パートナーデジモンが記憶を取り戻した流れはとても良かった。
    コロモンが記憶を取り戻すシーンの背景には劇場版第1作、TVアニメ、ウォゲなどが再現されており、要注目である。
  • 偽ゲンナイの言動が稚拙で見るに耐えない。平田さんの演技でぎりぎり保てているレベル。
  • 西島先生が死ぬ必要があったのかどうか、姫川が救われないどころか登場せずその後どうなったのかも分からないのは酷すぎる。
  • 要所々々で流れるButter-Flyが実に素晴らしい。改めて和田さんとButter-Flyという曲が持つ力に圧倒された。
tri.シリーズ
  • 賛否が分かれたキャラデザと声は見ていると良く思えてくる。
    むしろ年齢設定などを考慮すると変更はやむ無しといったところか。
  • 進化のバンク、戦闘シーンは非常に出来が良く、それだけで見る価値がある。
  • 非戦闘時では止め絵や使い回しが多く、劇場作品としては質が低く感じる。
    戦闘や重要シーンにリソースを振ったのだろうが、限度があるのでは…。
  • 子供から大人へと成長する中での子供たちの葛藤がよく描かれていた。
    その中で究極進化を勝ち得る流れは、TVシリーズの超進化を思い起こさせる。
    一方で、章を跨いで同じような葛藤を繰り返すなど、冗長的な部分もあった。
  • 9人の子供たちと9匹のデジモンの心の動きを描くには6章構成では短すぎた。
    最終的に、周辺人物について時間を割く余裕すら無かったようだ。
    02組がほぼ登場しないのは尺のことを考えると致し方ない。
  • 望月芽心とメイクーモンの話としては綺麗に完結していた。
    一方で、彼女たちの存在が無くても問題なく02最終回に繋がる。
    良くも悪くもtri.で完結したキャラクターである。
  • 西島先生の言葉が太一のその後に繋がり、02の最終回に繋がった。
    (正直、こういうのが一番見たかったんだよなあ…。)

第6章のストーリーと感想

 <たぶん執筆予定>

デジモンアドベンチャーtri.を振り返って(感想)

 ここからはネタバレもあるので注意されたし。

 2014年8月1日に新シリーズの発表があり、2015年5月6日に最初のPVが公開されてから2018年5月5日の今日まで、実に3年以上の期間が流れた。デジモンアドベンチャー(無印)といえば99年当時の子供たちに大ヒットしたアニメであり、自身もその一人だった。無印の続編となる15周年企画ということで、誰もがこの新シリーズに大きな期待を、大きすぎる期待をしていた
 キャラクターデザインや子供たちの声優の変更が発表されると批判も多かったが、PVの中で動くアグモンたちやオメガモンは物凄い迫力で、それだけでもう十分だと思ったほどだった。
 それに何より、あの和田さんがまた主題歌を担当するというのだから見ないわけにもいかない。

 第一章の公開日の2015年11月21日。朝一番の最初の上映回でButter-Fly ~tri. version~を聞いた瞬間にちょっと泣いてしまったのは今でも覚えている。第一章のタイトル「再会」の通り、当時子供たちだった私たちはデジモンに「再会」したのだ。



 キャラデザインや声については、子供たちの成長を描く上で仕方がないものだったと思う。特に声の方はかなり無理が出てきたのではないかと思う。デジモンの声優が一切替わらなかったことからも、スタッフが考えなしに変更した訳ではないだろう。
 残念ながら、止め絵の多さやシーンの使い回しのような部分は第1章から見られていた。余程スケジュールが厳しかったのか、第2章や第3章の公開時期が遅れたり、第4章以降の公開スパンがかなり大きくなった。公開時期が遅れること自体は良いのだが、それならばもう少し作画を頑張って欲しかったと思うばかりである。
 作画についての不満は様々なところで聞かれたが、戦闘シーンに限って言えばむしろなかなかの物だと思っている。本シリーズでは究極進化と究極体同士の戦闘が毎回行われ、戦闘シーンは大迫力なものとなっている。特に第一章のオメガモンとアルファモンの戦闘と、第6章の戦闘シーンだけは見たほうが良いレベルである。

 さて、戦闘シーンはすごい!とは書いたが、個人的にはデジモンアドベンチャーは戦闘よりも子供たちの心の葛藤や成長にこそ焦点を当てるべきだと思っている。TVアニメ「デジモンアドベンチャー」ではラスボスであるアポカリモンを第53話と第54話の冒頭で倒し、最終回第54話の大部分をデジモンと子供たちの別れのシーンに割いたほどである。デジモンアドベンチャーがただのモンスターが戦うだけのアニメではなく、子供たちの成長を描いていたからこそ、今も名作として語られるのだと思っている。
 デジモンが進化するタイミングは子供たちのピンチであるとか、子供たちの持つ特性(=紋章)の力を発揮したとか、子供たちとデジモンたちの心がいつも力を与えてくれたのだ。それはtri.においても変わらない。tri.以前に究極進化を経験していないミミ、丈、光子郎、空はそれぞれ悩みを抱え、克服し、究極進化へと至る(メイクーモンは例外的に勝手に究極体になりやがった…)。
 この子供たちの葛藤というが難しかった。というのも、昔のデジモンは勇気だとか友情だとか愛情だとか、ある意味正解が分かりやすい葛藤だった。(一般論のレベルでは)勇気と無謀は違う、友情に懐疑的になるな、親の厳しさは愛情の裏返し…など。だが、多くが高校生となった子供たちはもっと困難な壁にぶつかるようになる。大人にすら何が正解なのか分からない問題だ。太一は繰り返す。大人になって見えてなかったものが見えてきた、と。
 大人にも正解が難しい葛藤だ。どうしても登場人物の会話は抽象的で形の見えないふわふわしたものになってしまう。同じような葛藤を堂々巡りしてしまう。登場人物が子供だからだけではない。たぶんスタッフも(そして筆者自身も)着地点をはっきりとさせられなかったのだろう。冗長的に感じられる子供たちの葛藤の原因はここにあると考える。
 結果、無印や02で成長していた子供たちが退行して見える場合や、なんかよく分かんないけど吹っ切れた!みたいな展開が所々に見られたのだろう。

 それでも、最後に太一とヤマトが辿り着いた答え、ヒカリの放った言葉と行動は、子供たちの成長の証として大切な部分なのだと思う。良いシーンは本当に良いので、そこだけは評価したい。


 ストーリー展開については、望月芽心とメイクーモンの物語としてはなかなか綺麗に完結している。意地悪な言い方をすれば、tri.という作品のためにデジモン世界に誕生したキャラである。彼女は突然8人の前に現れて、最後は彼らの前から去っていく。ちょっとした友情こそ残ったが、彼女が居なくてもデジモンアドベンチャー02最終回には問題なく繋がる。そういう意味では西島大吾の方が大きな物を残してくれた存在である。
 さて、意地悪な言い方は止めて、望月芽心とメイクーモンの話に戻る。彼女らに関する伏線は一通り回収され、収まりよく、悲劇的ながらも感動的に物語は締め括られる。第6章におけるメイクーモンの設定(バックアップの設定)もあり、シナリオはスムーズに進行していた。結果的にはメイクーモンを倒すことになったが、単純な勧善懲悪や救済の物語ではなく、犠牲を払いつつも最善を尽くすという正解が無い物語で終わったことも、彼らが成長して向き合わなければならなかった葛藤なのだろう。

 一方で、周辺人物のストーリー展開としてはこの上なくクソとしか言えない代物である。
 第一に、西島と姫川のストーリーである。本作のキーパーソンでありながら、姫川は第6章に登場すらしない。西島が姫川を救い出す展開があるものと思っていたのに、まさかの西島も生死不明(偽ゲンナイの言葉通りなら死んでいるはず)となった。彼ら(特に姫川)はメイクーモン騒動のトリガーでしか無かったのだろうか。救いが有るとか無いとか以前に、存在がない。唯一、西島大吾が第1章や第6章で語った言葉が太一を外交官の道へと進めることになった部分は評価している。そういう意味では西島の最後は必要だったのかもしれないが、姫川は何なんだ?どうかバクモンとお幸せに…。
 第二に、イグドラシルとホメオスタシスの思惑がよく分からないところだ。偽ゲンナイの言動は(悪役という前提で見ても)理解し難く、章を追う毎にキャラ崩壊が進む。そもそも偽ゲンナイの正体は何なのか、メイクーモンとアポカリモンの関連性はあまり意味がない設定なのに「次はデーモンか、ディアボロモンか」なんてセリフを吐きながら消える。ホメオスタシスも行動にあまり一貫性がなく、子供たちの敵にも味方にもなる上に、ハックモンは同情すらしている(ホメオスタシス側はまだ良い)。
 早い話が、尺が足りない。たった約90分×6章というTVアニメ2クール分あるかどうかの時間で9人の子供とパートナー9匹に加えて、周辺人物を掘り下げる余裕などあるはずなかったのだ。加えて、堂々巡りの葛藤を毎回するので時間が無くなっていく。当然、02組の出番はない。尺がない。

 ここに上げていないことは(矛盾点など)は多少の無理はあれど言い訳を通すことはできるので、この際は良いだろう。
 全体的に厳し目の評価になっている気がするが、最後の第6章で綺麗に収まることを期待していた(4章あたりから不安はあった)だけに辛い部分がある。本作の主題がおそらく子供から大人へと成長していく過渡期にある彼らの葛藤であるとすれば、そういうものは単純な側面だけを見て判断ができないものであり、評価は難しい。「俺の中ではこんなことはありえない」という物も、人が変われば「そういうことも致し方ない」となることもある。子供たちの悩みが薄弱とか、行動に納得がいかないとか、そういう意見が割れてくるのも当然なのかもしれない。
 いくつかの明らかに問題な箇所もあるのだが、個人的にはそれなりに楽しみながら見ることができたと思う。究極進化や戦闘シーン、流れる音楽。これらが作品を盛り上げてくれるという部分が大きい。子供たちの葛藤については、深く考えすぎると考えの不一致から理解できずに終了してしまう可能性もある。いくつか擁護のしようがない問題点があるが、さすがにそれらはちょっとね…。

 以上でデジモンアドベンチャーtri.シリーズの感想とさせていただく。