デジモンアドベンチャーtri. 第5章「共生」

 今日公開のデジモンtri.の第5章を早速見てきたので、感想やら何やら。

デジモンアドベンチャー tri.
『デジモンアドベンチャー tri.』(デジモンアドベンチャー トライ、DIGIMON ADVENTURE tri.)は、デジモンシリーズの劇場アニメ作品、デジモンアドベンチャーシリーズの続編。全6章予定。

デジモンアドベンチャー tri. - Wikipedia



ストーリー

パートナーである望月芽心がゲンナイの姿をした謎の男に傷つけられるのを見て、
メイクーモンは再び暴走をはじめる。

「お前は生まれてきてはいけなかった…」

現実世界へ消えたメイクーモンこそ、歪みそのもの。あまりに大きな力を持ち過ぎた、世界を壊す鍵―
西島大吾と望月博士のもとに現れたハックモンが、真相を明らかにしていく。
世界の調和を保とうとするホメオスタシス自身が、今や強大すぎる存在となったメイクーモンを危険とみなし、切り捨てようとしているのだと。

暴走するメイクーモンの出現により、現実世界崩壊へのカウントダウンがはじまる。
いたる所で次々と異変が発生。歪みを通して現れたデジモンたちは、その時が来るのを待ちうける―

選ばれし子どもたちは、変調をきたしたデジタルワールドから疎外され、現実世界に戻ってきてからも、
パートナーデジモンと共にいるがゆえに人々に追われる。一同が孤立無援となりながらも必死に打開策を探る中、ひとり思い悩み続ける芽心。
あまりにも大きな荷を負い、打ちひしがれる彼女には、仲間やデジモンたちの声も届かない…

そして、過酷な運命は、誰よりも真っすぐで繊細な魂を持つ八神ヒカリのもとにも迫っていた―

今、再び 冒険が進化する―

引用元: デジモンアドベンチャー tri. STORY
 第4章では、リブートの後のデジモンたちとの絆を取り戻すことに成功した太一たち選ばれし子供達。第4章のラストではゲンナイ(の姿をした謎の男)が芽心に襲いかかり、メイクーモンが暴走するところで終わりとなった。
 第5章はゲンナイが襲いかかるところから再開、芽心とメイクーモンの過去が回想され、子供たちとデジモンたちの間の絆について描かれていく。
芽心「もう、私はパートナーじゃないの?」
太一「今、誰よりお前のことを求めている奴がいるだろ……メイクーモンだよ。」

ミミ「あなたが……ううん。私たちがメイクーモンの希望なんだよ!」
ヤマト「『選ばれし子供』じゃない。『選ばれし子供"たち"』だ。」

 デジモンとパートナーの子供たちの絆、そして選ばれし子供達同士の絆が第5章のテーマの一つなのだろうと示してくれる。ミミの言うように子供たちがメイクーモンを救い出す希望となるのか、「仲間を犠牲にする希望」となってしまうのか。第1章から繰り返されてきた「選ばれし子供達であることの意味」を再び問い直すことにもなる。



 もう一つ、タイトルにもなっている「共生」について。
 第5章では、人を存在する価値のないものと見なして排除しようとするイグドラシル、調和を保たんとしてメイクーモンの排除にかかるホメオスタシス、メイクーモンを救い出して世界を守ろうとする子供たち、それぞれの思惑が衝突を始める。
 デジモンと人は共生できるのか、調和のためには犠牲も致し方ないのか。子供たちとパートナーデジモンとの絆の力が試されるということなのだろうか。

ヒカリ「デジタルワールドが、私たちを、憎んでいる。」
テイルモン「少なくとも私たちはヒカリたちを憎んでなんかいない。」



感想のような何か

 今回も例の如く劇場限定版の円盤を入手すべく早朝から劇場へ行ってきた。
 第3章までは熾烈な円盤購入争奪戦が続いていたが、第4章から徐々に円盤の販売数増えたのか即完売という事態は減り、今回に至っては劇場で整理券配布をしてくれたり一部物販のみ待機列が別に作られるところまであったようだ。チケットの発券から品定めまで慌てずでき、物販購入もスムーズになるような対応で、非常にありがたいところだ。

 さて、以下からはネタバレだらけで物語の展開と感想などをつらつらと書き連ねていく。今回も円盤で見返しながら書いていくので、大凡時系列順になってしまうだろう。第4章までのように長くなりすぎないように気をつけよう……。 ← ダメだった……。

芽心とメイクーモン、姫川とか

 開幕後すぐに回想シーンとなり1999年 秋 鳥取、それ続いて東京の研究所らしき場所のシーンに。過去にメイクーモンが凶暴化したり暴走したりしたシーンが映り、そこには姫川の姿もあった。この頃から姫川はメイクーモンの持つ力に目をつけていたのだろうか。今作では姫川については殆ど語られない。
 暴走していても芽心のことは認識できているようだが、最後まで正気には戻ってくれなかった。何度も挿入される芽心とメイクーモンの過去のシーンが胸に刺さる。
芽心「『生まれてはいけなかった』。そう言っていました……。」
 メイクーモンは体内にアポカリモンのデータの欠片を持っており、どうやら世界を破壊するだけの力を秘めているようで、イグドラシルはそこに目をつけたのだ。子供たちがデジタルワールドに旅立ったのと時を同じくして、現実世界では各地でシステムに異変が起きていた。

 シーンは切り替わり、姫川はデジタルワールドと世界の崩壊を前に正気を失っている様子。子供の頃にバクモンを失ったが故に悲惨なことになってしまった。経緯は違えど、ある意味デジモンアドベンチャー02の及川と似たような道を辿っている。子供の頃のトラウマというのは深く根に残り続けてしまうものだね……。
 後々、デジモンアドベンチャー02 第13話「ダゴモンの呼び声」に出てくる黒い影のようなものが登場し、おそらく姫川はダゴモンの海に辿りついてしまう。クトゥルフ神話で言うところの「深きものども」に呼ばれて深みに連れて行かれそうになっているあたりはまんまヒカリと同じである。電波をキャッチしてしまう体質といい、共通点は多いようだ(闇堕ちしちゃう部分もね……)。

ゲンナイ「真っ直ぐで繊細なものほど、脆く、壊れやすい。」

 本当は姫川もかつては真っ直ぐな心を持った繊細な女の子だったのだろう……。西島先生が姫川を助けることを期待して第6章を待ちたいところだ。

 太一のお母さんがテレビに流れるデジモン関連のニュースを聞き、太一とヒカリの帰りを待ちわびるシーンでは、「きっと大丈夫。帰ってきた時、お腹空かせてるわね。ご飯たくさん作っておかなきゃ」なんてセリフが。我が子の帰りを待つ親のシーンに、18年前とは違ってグッと来ちゃう部分がある。こういうシーンは無印のBDなどを見返していてもよく目についていた。子供だから見えたものももあれば、子供ではなくなったから見えてくるものもある。今作tri.では太一がよくそんなことをボヤいていたね……。

「ホメオスタシスの意向」と「デジタルワールドの異物」

 リブートによるリセットに失敗して現実世界にも異変が現れ出したことで、ホメオスタシスはついにライブラ( = メイクーモン)の排除を決めたことをハックモンは西島たちに告げに来る。政府もホメオスタシスの側についたらしい。
 テレビ版でアポカリモンを倒したのはメイクーモンと芽心が出会った後だと思っていたが、8人の子供達がアポカリモンを始末した後にメイクーモンが生まれたのだろうか。初代の子供達(西島ら)の頃からメイクーモンが生まれていたとしたら、あまりにメイクーモンが長生きすぎるので無い……よね?
 芽心はメイクーモンを安定化(安心)させることができる存在として、ホメオスタシスらには"希望"の存在だった。しかし、一度でも封じられた力が吹き出してしまった今ではもうメイクーモンを押さえ込むことはできないのだ。つまるところ、芽心はもう"希望"ではないと見なされてしまったのだ。身勝手にも程がある。
 このシーンではあんなに冷たそうだった望月父が父親らしい一面を見せてくれる。西島も政府の人間としてではなく、一人の先生、一人の選ばれし子供だった者として怒りを露わにする。「切り捨てるくらいなら、なぜ選んだんだ!!」 この言葉はある意味では西島や姫川たちにも言えないこともない気がする。姫川とバクモンは切り捨てられたわけではないのだろうが、自分にはそんな風に聞こえてしまう……。

 その頃子供達はデジタルワールドの時空の捻れ?や襲いかかる植物などに苦しめられていた。ヒカリ「デジタルワールドが、私たちを、憎んでいる。邪魔だと思ってる。」 徐々にヒカリが闇堕ちの様相を呈し始めてくるので、この辺りから不安になってくる。そんな中、9人の子供達はデジタルワールドでの夜を過ごすことに。ここでの会話は今作の肝となる部分だろう。
 
芽心「私は、メイちゃんのパートナーです。……なのに、私は……。」
ヤマト「パートナーだからって、全部思い通りに行くわけじゃないさ。当然だろ。どっちかがどっちかに一方的に従うなんてのはパートナーじゃない。」
ミミ「私たちさあ、お互いに欠点もいっぱいあるし……でも、それがちょうど良いっていうか。」

芽心「私、皆のパートナーとの絆、たくさん見てきました。それぞれ関わり方は違っても、お互いを結んでいる強いもの。私とメイちゃんに、それ、あるのかな。」
空「だから会いに来たんでしょ。パートナーであることから逃げないって。どんなことがあっても。」

芽心「私、なんのために選ばれたんだろう。何もできてない。それどころかメイちゃんが……。」「何もできないなら、どうして私を選んだの。もっと選ばれるべき人がいたはず。私なんかを選ぶからこんなことに……。」

太一「寂しいこと言うなよ。選ばれたから俺たち仲間になれたんだろう。今、こうして居るんだろう。」

ヒカリ「本当に伝えたい思い、絶対に伝わる。パートナーなんだから。」「信じて、パートナーを。そして、パートナーとして選ばれた芽心さんを。」「弱くたって……みんなが、仲間が傍にいる。芽心さんも、私たちも、選ばれたことに絶対に意味がある。」
ヤマト「『選ばれし子供』じゃない。『選ばれし子供"たち"』だ。

 BGMに流れるButter-Flyと共に涙を誘ってくる。太一「アグモンたち、ここで俺達を必死に守ってくれた。俺達が……守るんだ。メイクーモンのことも。」 と、子供達同士の固い絆、子供達とパートナーとの強い絆を芽心に示す8人。本当に心強い。特に太一がかっこよすぎるよ……。
 この場面の他、空気を読めない読まないアグモンは要所々々で重苦しい雰囲気をぶち壊してくれる。適度に息抜きになってくれるのでアグモンが癒やしだ……。


再び現実世界へ

 ゲンナイの差し金で現実世界に帰ってくる9人と8匹だが、既に現実世界では危険生物扱いなデジモンたちを理由に警察のお世話になっていたところを西島先生に助けられる。子供達は人の目を避けて誰もいない夏休みの高校に戻る。高校のシーンは本章の折り返し部分。ネタ要素もここに詰め込まれていて、しんどい展開を一旦和らげてくれる。
 西島からハックモンの告げたことを知った子供達は動揺を隠せず、芽心は自身とメイクーモンの存在意義を自らに問いかける。
太一「今、誰よりお前のことを求めている奴がいるだろ……メイクーモンだよ。」
ヒカリ「私たちとパートナーは、お互いの希望なんだと思う。」
ミミ「あなたが……ううん。私たちがメイクーモンの希望なんだよ!」

 ハックモンの話を聞いた光子郎はメイクーモンが世界崩壊に繋がる「スイッチ」であると気付く。イグドラシルはメイクーモンを使った世界崩壊を画策していたのである。それを阻止せんとするホメオスタシスはメイクーモンの抹殺を決めた。校舎で束の間の安息を得る子供達だったが、ヒカリ「怖いよね。結局、自分の周りで何かが起きないと、私たち、どんな大変なことが起きてても実感できない。」 これもまた、見えてなかったものや見ていなくてよかったものが見えるようになってきたこととの対比になっているんですかね。

 ヒカリが闇堕ちしそうなところ、部屋の電気を消していきなり怪談を始めて雰囲気を変えようとするタケル。さすが正妻もとい正夫(そんな日本語はない)。ヤマトはこの手のものはてんでダメらしく始終情けないご様子である。空ミミヒカリのヒソヒソしてるところは如何にも女子らしくてかわいい。怪談中のモンたちの目も見どころである。
 いや、それよりも丈の顔芸もあるのだが、こちらは滑りまくっている(本編内の話)……。

 怪談も終わると子供達はそれぞれの親に電話をすることに。この手のシーンは本当にウルッと来ちゃうから困る。ちょっと涙ぐむミミとそこに肩を寄せる空。一人で電話する丈や光子郎。兄弟それぞれで両親にかけるヤマトとタケル。母親の電話には出ないヤマトが彼らしい。
 そして、太一とヒカリ。彼らだけはちゃんとセリフがある。

八神母「アグちゃん達は大丈夫?」
太一「息子の心配じゃなくてそっちぃ?」
母「貴方は大丈夫でしょ。」
太一「ま、大丈夫だけどさ。」
母「ヒカリとアグちゃんとテイルちゃんのこと、頼むわよ?」
太一「ああ。……じゃあ……
母「太一、久しぶりじゃない?あなたの夏休みがこんなに賑やかなの!」
太一「何言ってんだよ。」
母「おやすみ。」 受話器を置いて食卓にある4人分の料理を寂しげに見やる。

 このシーンだけで母親が子供達とそのパートナーのみんなを心配しつつも、一方で太一のことを確かに信頼しているのが伺える。そして、こんな不安な状況の中で、子供達の成長を感じつつ、一方で子供の顔を見ることもできない寂しさも伝わってくる。

 最後は外で電話する芽心。大好きなメイクーモンの真実を知ってしまい、またメイクーモンの希望になれるのか分からず苦悩する。その声を聞いてしまった太一と、それを校舎から見守るデジモンたち。

太一「あのさ。よく言うじゃん。子供の頃は見えて、大人になると見えなくなるものがある……とか。逆に大人になると子供の頃は見えなくてよかったものが見えてくるって。でも、何が見ていいものなのか、見なきゃいけないものなのか……子供と大人の見えるものに、そんなに違いってあるのかな。」
「俺、アグモンと久しぶりに会った時、『ああ、こいつとはずっと繋がっていたんだな』って、素直に思えてさ。」

 太一が立ち去った後はアグモンが芽心の元へ。相変わらずずれた発言を連発して他の7匹に問題発言扱いされてしまう(笑) でも、そんな真っ直ぐな存在だから芽心は感情を表に出してしまったのだろうなぁ……と。ほんとアグモンは良い仕事をするんだから……。
 見守るガブピヨテイルが太一やアグの様子をヤマト空ヒカリに報告すべきかどうかを思案しているシーンがちょこちょこ入るが、太一ヤマト空+芽心?の関係性も気になってくる。いや、二人ほどは結果が分かってるんだけどね。

 芽心との話が終わった太一とアグモンは屋上で言葉を交わす。ヒカリの言葉を思い出しつつ、「思いを一緒に背負ってやることなんて結局できないのかな。いつからだろう。すぐ悩んだり、そのくせ何もできなくて……子供の時のまま、そのままで居られたら……(略)」 そんな太一をアグモンなりに励ましてあげる。
 勇気と無謀は紙一重ということを思い知った無印第20話以後、悩みはしつつも思い切り良く行動していたし、仲間たちの思いを汲むような場面も多かった(空には上手く対応できてなかったかな?)。あの頃は、子供らしい冒険心と、ちょっと成長した思慮とでバランスが良かったのかもしれない。歳を取ると色々と思いを巡らせて動けなくなること、増えてきたよね……。

究極体総進撃!きらめくオメガモン?!

 翌朝、メイクラックモンが出現(これどこだろう。お台場?)し、駆けつける子供達。メイクーモンを救い出すために完全体8体がメイクラックモンを包囲する。
 ここの進化、画面が7-8分割されて一気に進化バンクが流れるのだが、このシーンはテンションがメチャクチャ上がる!ここからの戦闘シーンは最高!!
 そこに現れるはホメオスタシスの使者、ジエスモン。メイクラックモンはラグエルモンに究極進化、その存在だけで周囲を破壊(データに分解?)していく。なんだこのチート能力は……。
 ホメオスタシスに裏切られた子供達は戦う相手を見失いかける。ジエスモンの攻撃が芽心を襲おうというその時、ラグエルモンが芽心を守った(ように見えた)。メイクーモンを救わなければ!と再び戦う意思を見せる子供達。
 ウォーグレイモンへの究極進化、そして画面が6分割されて一気に究極進化!!これで究極体が7体と完全体が1体!全員でジエスモンを押さえ込もうという時、ヒカリにホメオスタシスが舞い降り、子供達にジエスモンと戦うことを止めるように命じる。西島「ふざけるな!この子たちも、パートナーもお前たちの手駒じゃない!」 ヒカリ「ふざけたことを言わないで!出ていって!今すぐ私の中から出ていって!必要な犠牲なんて無い!あっちゃダメ!!」
 仲間意識など捨てろと言い放って消えるホメオスタシス。ラグエルモンを抱えて歪みに消えたジエスモンを追い、ウォーグレイモンとメタルガルルモンが合体、オメガモンが一閃で歪みを切り開く!!
 究極進化からこっち、ずっとbrave heartが流れっぱなしの、究極体総進撃で戦闘はどんどん盛り上がっていく!!そして、ジエスモンとオメガモンの対決の前に現れるはアルファモン。子供達、ホメオスタシス、イグドラシル、メイクーモンの四つ巴の闘いに発展していく。

太一「俺たちは大切な仲間を守る、それだけだ!!」
西島の脳裏にはかつての姫川の姿。
ダゴモンの海らしき場所に辿り着いた姫川。
西島「俺は……俺は、結局一度も君を救ってやれなかった……。俺たちは、一体何のために選ばれた?」

 西島が叫んだあの言葉って、やっぱり無意識に姫川にも向かっていないかなあ……。どうだろう。
 人とデジモン、パートナーの意味という点でも、姫川とバクモンの関係性はとても難しいものだったのだろう。姫川はバクモンの希望になっていたのか、バクモンは姫川の希望になっていたのか。
 リブートの結果では、姫川にとって希望となるはずだったバクモンは絶望になってしまったわけなのだが……。

芽心と太一の決意

 四つ巴の闘いは、アルファvsジエス、オメガvsラグエルになっていた。メイクーモンが傷付く姿をもう見たくない芽心は「メイちゃんを殺して」と呟く。空「言ったでしょ!パートナーはお互いの希望なのよ!これじゃあ絶望じゃない!!」「……メイクーモンを殺すことが芽心ちゃんの中にある希望なの?」
 芽心も希望が絶望に、むしろ絶望が希望になってしまったと言うべきか……。この辺、姫川と対照的な感じがする。ちなみに、ホメオスタシスにとって希望であったはずの選ばれし子供達は、ホメオスタシスの思惑にすら対抗するある種の絶望へと変わっていく……とも見れそうだ。
 「分かった。」と答える太一は、もう悩んで立ち止まったりしない。仲間の思いを、痛みを、一緒に背負うことを決意する。
太一「メイクーモンは仲間だ。俺は……仲間の痛みから逃げない!俺達は選ばれし子供達だ!!
ヤマト「ふざけるな!!仲間を犠牲にする希望なんてあってたまるか!太一!!」

 ありがとうと一言、駆け出す芽心。続くヤマト、太一、西島。ジエスモンの攻撃が周囲に拡散し、大地を砕く。太一は咄嗟にヤマトと芽心を救うように合図を出すが、太一とそれを救おうとした西島は大地の亀裂の底へと消えていった……。
 半ば呆然とした様子で「お兄ちゃん」と呼びかけるヒカリから、赤黒いものが出てきてニャロモンを包み、オファニモン フォールダウンモードへと暗黒進化を果たす。ゲンナイ「真っ直ぐで繊細なものほど、脆く、壊れやすい。」 そのままラグエルモンに同化していくオファニモン。ヒカリ「奪う……奪う……。」
 同化したオファニモンの姿はさながらエヴァの使徒が如く不気味で、黒く染まった天使の羽を纏い、空を覆う暗雲と光子郎のPCに映るデジタルの世界は混沌としている。どす黒いものが渦巻く禍々しさが、調和が崩れて終焉へと向かう様を表している。現実世界とデジタルワールドの崩壊の危機へと進んでいく……。

 太一のゴーグルを広い上げるヤマト。「みんな、立て!座り込んでどうなる、叫んでどうなる。何も救えない!なら、立ち上がれ!立ち止まるな!泣くのは後だ!!」 手にしたゴーグルを首に下げ、ヤマトは太一に代わって思いを背負う覚悟をした……。

アイコトバ

 感想を書くのは本編まで……のつもりだったが、エンディングテーマが良すぎたので、ちょっとだけ。本作のエンディングテーマは宮崎歩&AiMの「アイコトバ」。
 うっかり歌詞を書くと某団体がやってきそうなので、各自で調べて欲しいところだが、この曲の歌詞が本当にこの第5章にぴったりなのだ。パンフレットにもあるが、この曲は芽心とメイクーモンのことが詩になっている。
 幼いころの思い出、一緒にいられた奇跡、時の流れや運命に引き離されようとも信じ合う気持ち、絆は変わらない。パートナーを守るため、一緒に強くなろうと決意し、未来を信じて、二人を繋ぐアイコトバは決して消えることはない。
 ざっくりこんな感じの内容である。あまりにざっくりとまとめすぎているので、どんな曲かは各自で調べてほしい。メイクーモンたちにとってのアイコトバって何だろうな。そこまで本編をトレースしてるのかは分からないけど、考えてみても面白いかもしれない。



 最後に不満点(という程でもないが)を白文字で書いておく。大したことは書いてないけども、見たくない人はそのままスルー推奨。

ここから
 第一の不満はヒカリの「絶望」に対してである。姫川や芽心についてはよく理解できるのだが、太一が地割れに巻き込まれて生死不明となり、すぐに精神が崩れるほどヒカリは軟じゃないと思っている。むしろヒカリなら太一の無事を信じて闘ってくれそうなものだが……。
 オファニモンフォールダウンモードになるならば、ヒカリの「必要な犠牲なんてない」というセリフに対してメイクーモンあたりが犠牲になる or なりかけるシーンから暗黒進化の方が納得が行ったような気がする。
 ある意味、太一は犠牲になったので、大きく外してはいないのかなーと言えなくもないか? 最終章へと繋げるための話でもあるため、物語の進行上仕方のない展開だったのかもしれない。

 もう一点だけ上げるならば、子供達が本当に成長しているのかどうかよく分からない点だ。第4章で最も強く感じたが、リブート後の世界なのにあっさりと進化を取り戻しすぎである。そもそもリブートが不完全にしか成されなかったせいで、簡単に取り戻せたとすれば無理やり納得は付けられるが、少々強引である。
 パートナーの絆の大切さや希望を説くのは間違っていないが、もう少し子供達の心を深く掘り下げて欲しかった。尺の都合で難しいのは承知しているので、あまり贅沢は言えないかな。

ここまで

第6章「ぼくらの未来」

 次回作、最終章となる第6章「ぼくらの未来」は2018年初夏に公開予定だ。何気に第3-4章あたりから公開時期が曖昧かつ製作期間が長くなっていっている気がする……。いや、それでより良い作品が見られるなら全然構わないんだけどね。制作スタッフのみなさんがんばって下さい!!
 ちなみに、ここまでずっと漢字二文字だったタイトルの法則が崩れた。単に「未来」でも良かったのでは……。きっと「ぼくらの」であることが大事なんだろう。他の誰でもない9人と9匹のであることが。

 キービジュアルのテーマカラーは空色で、公式サイトの背景に使われているものだろうか。夏の青空が似合うデジモンらしいカラーで、最後を飾るにはこれ以上ない色だろう。公開時期も2018年の初夏ということで、来年の夏はデジモンの夏になってくれそうだ。なんだかんで7月末~8月頭くらいになるんじゃないかと予測。
 ビジュアルは上端に子供達が8人とオメガモンやパートナーデジモン(ピヨモンたち)がいる。イラストの中央あたりには望月芽心とメイクーモンが落ちていくような姿勢で描かれ、子供達は互いに手を伸ばしている。
 絶望に淵に落ちていく芽心とメイクーモンを他の8人と8匹が手を差し伸べて助けるところなのだろうか。子供達の表情までは上手く読み取れなかったので、公式サイトに画像が来るのを待ちたいところだ。

 以上で、本日の感想のようなものはひとまずおしまい。